【美明のパン屋さん】オー・ド・ブーシュご主人にインタビュー

鹿部の交差点から美明に入り左右に住宅街を見ながら歩いていると、左手にふと小さなパン屋さん。

Eau de bouche (オー・ド・ブーシュ) は古賀界隈のパン好きの間ではとても有名なお店だが、いつも静かにそこにある、といった佇まいが個人的にとても好きだ。

店内に入ると、小さな店舗スペースいっぱいに広がったパンの匂い。

家にパンがどれくらい残っていたかな?

今日は何を何個くらい買って帰ろうか?

考えるべきことは多いはずなのに、ここにくると、とにかく目に付いた美味しそうなパンをトレーにのせてしまう。

そして、お店の方の丁寧な対応にいつも心が洗われたような気分になる。

いつかお話をしてみたいなぁ、と思いつつ何度となく利用させてもらっていたのだが、今回、ご主人に勇気を出して取材のお願いをしてみたところ、念願かなってお話を伺う機会をいただいた。

古賀でパン屋を始めた経緯、パン屋になった理由、パン作りのこと、趣味の話。

丁寧に、時に情熱的に話してくださった一部始終をお届けします。

ご主人にインタビュー

古賀の美明でパン屋を開いた経緯をお聞かせください

美明にくる前は早良区の荒江にて10年ほど、お店をやっていました。

その時は店舗付き住宅を賃貸で借りて営業していたのですが、いつかは自分で物件を所有して営業したいなぁと考えていました。

それで、荒江のその物件のオーナーさんに買い取りたいといった相談をしてみたりもしたんです。

ただ、買取というのは結局叶わず別の物件を探す流れになりました。

ちょうど子どもが高校に上がるタイミングで、自分の部屋が欲しいというようなことを言っていたことも移転を後押ししたのかなと思います。

お客様もいましたし、最初は慣れ親しんだ福岡市で移転先を見つけたいという想いもありました。ですが、福岡市の物件は金額の面で難しいものが多く、西のエリア、東のエリアと中央から離れたところまで広げて探していくことになったんです。そんななかで美明のこの物件に出会ったという感じですかね。

美明のこの場所に決めた時の決め手とかはあったんでしょうか?

住宅街で車通りの多い道沿いというのが希望でした。荒江のときもそうだったんですが、知り合いのパン屋の話を聞いていても、営業的には車通りが多い道沿いが良いという意見が結構あって。美明のこの場所はその条件にぴったりでした。

古賀市は集客面で福岡市に比べると難しいのかなという考えもなくはないでしたが、子どもたちのことを考えて駅近物件がいいなぁというのもあり、総合的に判断してここに決めました。

奥様と切り盛りするお店は自宅兼用で、大きな看板は出していない。ご主人は口コミで半径1kmくらいの人たちが来てくれたらいいなぁと話すが、私が知る限りでも福津からのお客さんがいる。

そもそもの部分になってしまいますが、なぜパン屋になろうと思ったんでしょうか?

大学時代は経済学部だったのですが、就職するにあたって将来独立できる何かをしたいという想いが漠然とありました。

それで最初に、たまたまなんですがリョーユーパンに就職して大丸の地下にあるパン屋に配属されたんです。

そこでパン作りを経験して、その中で、日本のトップレベルのパン屋が集まる講習会に参加できる機会に恵まれました。

その講習会では、こんなに美味しいパンが世の中にはあるのか、と衝撃を受けましたね。

そして、講習会で感じたこの素晴らしい技術を身につけたい、これくらいおいしいパンを福岡で出したい、という気持ちが強くなり、パン屋で独立するというのが確信になったんです。

独立という目標が決まってからは、大手にいてもできることが限られてしまうという理由で、リョーユーパンは辞めることにしました。

そして、湯布院の旅館がやっているパン屋に入ることに。

そこは、石窯でパンを焼くお店で、なんでもしていいよ、と言ってくれていたので腕試しだと思ってチャレンジしました。

ただ、残念ながら、まだまだ実力が伴っていなかったので、全然だめだな、と感じる結果に終わってしまいます。

その後、福岡でフランス人の方がやっているフランスパン専門店にいって、フランスパンを学び、それから今度はデニッシュを勉強したいという気持ちが芽生えたので、おいしいデニッシュのパンを出していたホテルに入るなどパン作りを1つずつ勉強しました。

そんなことをしている間も例の講習会には参加を続けていて、自分なりに将来の開業を見据えて腕を磨いていた期間がこのころですね。

それから、確か2005年くらいなので14年前くらいですかね、無事、荒江にお店をもつことができて、そこで10年程やって、美明に来たという流れです。

ここだけは譲れないなどのパンに対するこだわりはありますか?

自分としてはこだわりだとは思っていないのですが、添加物を使わないということはルールにしています。

大型店や大手はどうしても日持ちするパンを作らなくてはならないという理由で、結構、保存料などの添加物を使うんです。

これは連休中のシフト体制などを考慮しているからだったり、販売の仕組み上、どうしてもそうせざるを得ない状況があるので仕方ない部分もあるんですが、自分がお店をやるにあたっては添加物を使わないでどうにかしたかった。

そこで、家と店舗を一緒にして、できるだけパンに手をかけるという選択をとったんです。

ただ、これはやっていて気づいたことなんですが、いい生地を作ると添加物を入れずとも不思議と長持ちする場合もあったりして。

本当に不思議なんですが、試行錯誤を続けてきて、作り方と生地の持つ力が合致した時に長く持つようになるということがわかってきたんです。

いい水を使うといいパンができるという人もいますが、私はいい水を使っても技術がともなわないといいパンはできないと思っています。

その素材のもつ潜在能力を最大限に引き出す技術が伴っていなければ、本当においしいパンは作れないんです。

また、いい素材を使ったり、たくさんの材料を使ってパン作りをすると、どうしても材料費が高くなってしまう。そして、それにつられてパンの値段も上げなくてはならなくなる。それは自分はやりたくない。

なので、うちでは水は普通の水。粉も選んではいますがそれほど高いものではない。材料は極力少なくする、というやり方です。できるだけ素材のよさ、粉のもつ風味を引き出すのが私たちの仕事だと思っています。それが小さな店の生きる道なのかなと。

後になって気づいたことなんですが、古賀の水は福岡市より少し硬度が高いみたいでパンには適した水だったというのも追い風になっているかもしれませんね。とてもいいパンが作れるようになってきたなと思っています。

1つ1つのパンに、お客様に届けたいテーマがあり、いい意味でお客様が驚くようなパンを作りたいと話す、オー・ド・ブーシュのご主人の坂元さん。
クロワッサン。サクサクした食感を出すために折り込みの層を少なくしている。折り方1つとっても妥協しない。
食パン。「耳まで柔らかく」がテーマ。通常下火で40分かけて焼き上げるところを上火で30分程度で焼き上げ、柔らかさを実現。
フランスパンは粉と塩と水、酵母だけ。技術が味を決める。
菓子パンは固くなるのを防ぐために袋に入れて売る店が多いなか、視覚に訴えたい、とあえて出した状態で並べる。袋に入れなくてもおいしさをキープする方法を見つけたからできることだ。
「こだわり」というか自分の中の当たり前をこなしているだけだ、と話す坂元さん。優しい目の奥にパン職人としての強い意志が垣間見える。

2015年の美明でのオープンから4年程度、営業したことになりますが、街に対する印象などありましたらお聞かせください

福岡市でやっていたころはもちろん、おいしいパンを求めている人が多いと感じていましたが、このあたりも負けず劣らずですね。

ご年配の方でもすごく固いパンを買っていかれたり、このあたりは食に対する意識が高い方が多いのかなという印象です。

中途半端なパンは出せないな、と思いながらやっています。

ここからは趣味の話などをお聞かせください。休日は何をされていますか?

以前は魚釣りをよくやっていましたが、最近はインターネットや軽減税率のことなどを勉強しています。

友達が、「Airレジ」っていいよ、と言っていたので、導入して、会計データをクラウドにあげて処理をしたりしてますが、なかなか難しいところもあったりして。

世の中、キャッシュレス決済が普通になってきているので、最近はパン屋でもそういうことができるようにならないといけないのかな、と考えてます。

お好きな音楽などありますか?

色々聞きますが洋楽が多いですかね。

最近はショーン・メンデスを聴いていました。あとは、レディー・ガガとかなんでも聴きますよ。クラシックも好きですね。

オススメの本などありましたら教えてください

ツイッターでフォローしている人が勧めている本をよく読むんですが、最近は「勝負論 ウメハラの流儀」という本に衝撃を受けました。

型にはまらないで自分のやりたいことに進んでいくウメハラさんの生き様が書かれていて、すごいなと思いました。あっという間に読めますよ。

あとは橋下徹さんの「実行力」という本もよかったですね。

 

おわりに

消費者の私たちではとても気づかないところまで気を配り、真摯にパンを作り続けるオー・ド・ブーシュさん。

今回、お忙しい時間の合間、お仕事の後などにお時間をいただいてインタビュー・写真撮影に応じていただきました。

本当にありがとうございました。

丁寧に気持ちをこめてつくられたオー・ド・ブーシュさんのパンはこれからも、たくさんの人たちの心と体を満たしていくのだろうなぁと思います。

また、クリスマスにはシュトーレンというドイツのケーキを毎年出しているので、今年の商品も考えていきたいと話しておられました。そのあたりも楽しみですね。

お近くにお越しの際は、是非お店に足を運びパンのことを聞いてみてはいかがでしょうか?

身近なパンという存在に、きっとなにか新しい気づきがあると思います。

店舗情報

店舗名Eau de bouche (オー・ド・ブーシュ)
所在地古賀市美明3-1-8
TEL
営業時間9:00〜18:00
定休日
Webサイト

駐車場
地図
【記事を書いた人】
フルヤモトタカ システム屋をやっているかたわら、街に古本屋のある風景を残したいという思いにかられ、みんなでつくるふるほんや「みんふるや」プロジェクトを開始。そして無事、古賀すたいるに巻き込まれ、ライター稼業に七転八倒。

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